[通期]3月21日(日) - 6月25日(金) ※休館日除く]
[後期]6月1日(火) - 6月25日(金) ※休館日除く]
安宅漆工店/安宅信太郎
塗師である安宅漆工店の安宅信太郎さんは、信州の善光寺や国立能楽堂、参議院議長公邸など数多くの建造物の建築漆工を手掛けてきました。現在は「百段階段」をはじめ、ホテル雅叙園東京内の修復作業にも携わっています。
「百段階段」の漆工には、父である儀一氏も関わったといいます。「父も建造に参加したものを修復する喜びは、漆職人ならではのこと。こんな技があったのかと日々発見がある、生涯携わっていきたいと思える最高の仕事です」と語ります。
2007(平成19)年、墨田区登録無形文化財認定
2010(平成22)年、東京マイスター認定
2011(平成23)年、墨田区伝統的工芸技術保持者認定
山川建具/山川英夫
200種類以上ある複雑な組子文様を使い分けるベテランの建具師。
16歳でこの道に入って以来、和の伝統を重んじる建主たちの厳しい要望に応えてきた。
機械では到達できない1,000分の1mmの精度で、木材を削る熟練した技を持つ職人の一人。
最近では、花梨やウォールナットなどの外国産の木材を使用した、洋間の組子細工の研究にもいそしみ、組子の可能性を広げている。
1994(平成6)年、東京都優秀技能者表彰
2015(平成25)年、叙勲 瑞宝双光章を賜る。
2018(平成28)年、江戸川区無形文化財に認定。
東京都建具協同組合副理事長
中央技能検定委員
建松/田中松夫
大工の家庭に育ち、15歳で上京し建具屋に弟子入り。
1982(昭和57)年、独立し「建松」を設立。特に組み物を得意とし、書院障子、間仕切り欄間など数多く作り出した。機械化が進む近年においても、手で仕上げ、手で作る貴重な職人。
1986(昭和61)年、江戸川区伝統工芸展にて区長賞受賞。
2006(平成18)年、江戸川区指定無形文化財認定。
2019(令和1)年、東京都優秀技能者知事賞(東京マイスター)を受賞。
ビーズアーティスト/金谷美帆
神奈川県立湘南高校、学習院大学経済学部卒。在学中、ミス鎌倉、ミス熱海梅の女王に。IKCアナウンサーを経て、1998年よりビーズ創作活動を始める。
きっかけは、海外旅行中のニューヨークでビーズクイーンと評されるJoyce Scott氏の作品に出会ったこと。「Joyceの作品に出会い、ビーズで自分の世界を確立できるかもしれないという閃きがありました」。また「ビーズをただの手芸と思われたくない」とも。以来、アートビーズクリエーターとして次々と大作を世に生み出してきた。それは日本だけではない。
2008年 ワシントンDC日本大使館「The World of Art Beads by Miho Kanaya」
2014年 ニューヨークチェルシー地区セーラムギャラリー「The World of Art Beads by Miho Kanaya」代表作は、総ビーズ織り「和衣裳」(165万余粒使用)、総ビーズ織り六曲屏風「鎌倉」(2009年ギネス世界記録認定。206万3738粒使用)。
[神の手●ニッポン 第一期アーティスト]
組み木絵アーティスト/中村道雄
1948年、岐阜県生まれ。
1968年頃より、イラストレーターとして活躍する。その後、木との出会いがあり《組み木絵》を考案。1984年、組み木絵絵本第一作『ふるいみらい』を発表。以来、組み木絵作家として絵本・時計・壁画など、一作ごとに独自の分野を切り開く。
絵本のなかでは宮澤賢治シリーズの人気が高い。とくに「よだかの星」(1987年 偕成社刊)は毎年版を重ね、2021年累計で99,000部のロングセラーになっている。また、これまで、銀座三越、東京大丸、阪急百貨店、山形県酒田市美術館など企画展多数。2002年『徹子の部屋』に出演。2008年〜2010年まで大分芸術の杜内にて「中村道雄組み木絵美術館」が開館された。2012年にはパリで個展を開催し、大成功を納める。さらに2016年には東京都西多摩郡日の出町のアトリエの隣に、組み木絵ギャラリー「おおぷなあ」を開設している。
[神の手●ニッポン 第三期アーティスト]
株式会社松崎人形/松崎光正
「こころに寄り添う人形を」
節句や日々の彩として、古くからわれわれ日本人にとってかけがえのないものとして身近にあるお人形。大正10年の創業以来、約100年に渡りお人形を作り続けている松崎人形は、伝統に裏付けされた技術を守り、創造的であること、観察力と好奇心を持つことを常に心がけ、20代~70代と幅広い年齢の職人が日々技を磨いています。
分業化の進んだ人形業界においては珍しく、頭(かしら)から胴体までを手掛ける工房であり、「江戸木目込人形」「江戸節句人形(衣装着人形)」という二つの伝統工芸の技術を有しています。
近年ではその技術を生かし従来のお人形のイメージに囚われない自由な発想で、アート、インテリアとしても通用する木目込みの作品も発表、中でも2017年に発表した「色犀 -shikisai-」は17世紀の木版画をモチーフとし、木目込みだけでなくさまざまな技術を用いて作られた、体長120㎝を超える世界最大の木目込み作品となっています。
木内籐材工業株式会社/木内秀樹
木内籐材工業が、籐の敷物製作を始めたのは1931(昭和6)年。以来100年近く、籐をつかった敷物製作、家具製作に携わってきました。インドネシアはボルネオ島、オランウータンが棲む鬱蒼とした熱帯雨林に、籐は自生します。ゴムなどの大木に絡みつく籐の善し悪しを現地に一人出向いて見極め、良質な材料を調達しています。プロの世界で定評のある敷物、家具だけでなく、籐のポテンシャルを引き出し、より広い層にその美と機能を伝える製品の開発にも余念がありません。
2017(平成29)年 5月 (公財)東京都中小企業振興公社 東京手仕事プロジェクト 東京都知事賞受賞
2018(平成30)年 3月 東京都伝統工芸士認定
2021(令和 3)年 2月 文京区技能名匠者認定
北澤木彫刻所/北澤秀太
江戸時代に発展し、社殿や寺院の建築装飾や神輿の装飾などに施され、技術が磨かれてきた江戸木彫刻。北澤木彫刻所は江戸木彫刻の洗練された技を守り続ける工房です。ヤスリを用いず、数百本あるノミと彫刻刀を使い分け、躍動感あふれる表現と繊細な彫りで木の美しさを引き出します。二代目北澤秀太さんは父、北澤一京氏のもとに弟子入り後、寺社の建築彫刻を手がけながら、面打ち師の伊藤通彦氏に師事。現在、秀太さんが製作する面はそのほとんどが能舞台で使われており、能面師としても活躍しています。
岡半/岡田雄二
造花は雛人形に添えられる橘や桜、そして人形が手に持つ草花など、彩りとストーリーを演出する名バイプレーヤーです。白生地の裁断に始まり、染色や組立まで全工程を担う岡半は、1922(大正11)年、浅草にて創業した日本人形用造花や、寺社・祭祀用造花を製造しています。
「和」の伝統を演出する脇役・舞台装置の一部として丁寧かつ、さりげなく盛り上がるようにという思いとともに作られた作品は、研鑽を積んだ実力だからこそ実現させられる品々です。常に新たな発想をカタチにする、創業100年を迎えても更なる未来を目指しています。
印伝矢部/矢部祐介
インド更紗模様の型紙により色染めをした、400年の歴史を持つインド伝来の鹿革製品である印伝は、鎧の胸板、兜の吹き返しなど戦国武将をはじめとする多くの日本人に愛されてきました。その後、漆加工を施す技法が創案され、さらに色漆を使うなど多彩な製品が作られるようになっていきました。
粋を好む江戸でも印伝は広く愛され、東京でも印伝を作る工房は数軒ありました。1924(大正13)年創業の印伝矢部は、印伝伝統工芸士に認定された職人のいる現在の東京では唯一の工房です。